
こんにちは、畳マン六代目です。
私は創業170年以上を誇る老舗畳店「青畳工房」の六代目として、畳製作一級技能士の資格を活かし、数多くの新築やリフォーム、こだわりの和空間づくりに携わってきました。
ここでは、近年増えている“紙の畳”から“天然い草”に戻す事例をご紹介します。
実際に「もう紙の畳はイヤ!」という声をいただいたお客様が、なぜ国産い草の畳表へと畳替えを決断したのか、その背景やメリット・デメリットを掘り下げていきます!
◆ お客様の切実な声:「紙の畳は汚れが取れない、肌触りもイマイチ」
今回ご依頼いただいたお客様は、以前別の畳屋さんからダイケンの樹脂加工紙畳表(通称:和紙畳)を勧められ、新調したそうです。
ところが、しばらく使ううちに以下のような不満が蓄積してしまいました。
- ✅ 汚れが目立つ
ちょっとしたシミや油汚れがつくと拭き取りにくく、残りやすい - ✅ 一度ついた汚れがなかなか落ちない
紙製ゆえに表面がこすれて毛羽立ったり、汚れが染み込みがち - ✅ 使い心地がいまいち
「畳の上でごろ寝をしても、なんとなく落ち着かない…」と感じる
本来、樹脂や和紙の畳にはカビに強い・色あせしにくいといった利点がありますが、その一方でメンテナンス性や自然な質感に不満を感じるケースも少なくありません。
そこでお客様は「やっぱり天然のい草がいい」と強くご要望され、国産い草の畳表へ表替えすることになりました。
◆ 紙の畳にもメリットはある!それでもい草に戻す理由とは?
紙の畳(和紙畳)や樹脂畳には、以下のようなメリットがあります。
- ✅ 色のバリエーションが豊富
グリーン系以外にも、ブラウンやグレー、アイボリーなどインテリアに合わせやすい色展開 - ✅ カビ・ダニが発生しにくい
防水・防湿加工がされており、アレルギー対策として取り入れる方も - ✅ い草のささくれが気になる方には快適
ペットが爪で引っかいてもささくれにくい、滑らかな表面
しかし「それでもい草に戻したい」と思う方が増えている理由は、以下の点が大きく関係しています。
1)やっぱり“畳らしい香りと質感”が欲しい
い草にはフィトンチッドをはじめとする自然の成分が含まれ、畳の香りとしてリラックス効果をもたらしてくれます。
和紙畳や樹脂畳にはこの香りがほとんどなく、「い草の香りに包まれながら過ごしたい」「畳本来の雰囲気が好き」という方には物足りなく感じられます。
2)汚れの目立ち方・落としやすさ
樹脂加工された畳は表面が一見拭き取りやすいように思えますが、強い汚れがつくと意外と落ちにくいという声が多いです。
一方、天然い草は使い込むうちに色合いが変化し、多少の汚れや傷も“味わい”として馴染む傾向があります。
3)肌触りやクッション性の違い
紙や樹脂の畳表は硬めで、座ったり寝転んだときのクッション性がい草とは異なります。
い草独特の弾力や通気性、調湿効果は、やはり天然素材ならではの魅力と言えるでしょう。
◆ 実は施工ミスも発覚!前回の畳屋さんの手抜き工事?
今回の畳替えでは、実際に畳を外した際に前回施工した畳屋さんのミスが見つかりました。
- ✅ 寸法を明らかに間違えていた
框(かまち)に不自然な切り込みが入っており、新畳を敷いたときから隙間が生じていた可能性大 - ✅ 補修なしでは納まりきらない状態
畳をピタッと合わせるためには大規模な補修と調整が必要
このような手抜き施工は、お客様にとって大きなショック。
「せっかく新調したのに、ズレや切れ込みがあるなんて…」という不信感は当然ですよね。
私たち畳職人としては、次に畳を替える職人さんのためにも見えない部分こそしっかり仕上げるのが基本だと考えています。
◆ 国産い草への畳替えで得られる3つの安心ポイント
今回、お客様がダイケン和紙畳から“国産い草”へ戻したことで、次のようなメリットを感じていただきました。
- 香りのある和空間
▶️ 天然い草独特の爽やかな香りが部屋に広がり、リラックス効果もUP - 汚れが気になりにくい
▶️ 多少の傷やシミは時間とともに味わいに変化し、目立ちにくくなる - 素足での感触や調湿性能
▶️ い草が持つハニカム構造により、足ざわりが柔らかく、湿度が高い時には吸収、低い時には放出して空気を快適に保つ
◆ 紙畳・樹脂畳とい草、どっちがいい?それぞれの特徴を比較
メリット比較
紙・樹脂畳 | 天然い草畳 | |
---|---|---|
耐水・防カビ | ✅ カビが発生しにくい | ❌ 高湿度環境では要換気 |
色の選択肢 | ✅ 豊富なカラーバリエーション | ❌ 基本的に緑〜黄金色のみ |
香り | ❌ ほぼ無い | ✅ い草特有のリラックス効果 |
肌触り | ❌ 硬め、やや滑りやすい | ✅ 弾力があり、しっとり柔らか |
経年変化 | ❌ 傷や汚れが目立ちやすい場合あり | ✅ 色味が穏やかに変化し、味わい深くなる |
選ぶ際のポイント
- ✅ 小さなお子さんやペットの汚れが気になる人
紙・樹脂畳の撥水性がメリットになる場合も。ただし一度深い汚れがつくと取りにくい点に注意。 - ✅ “畳らしさ”や香り、自然の風合いを楽しみたい人
天然い草がおすすめ。適度な換気を行えば、カビ対策も十分可能。 - ✅ アレルギー・ダニ対策
樹脂系の畳表は確かにカビやダニの繁殖を抑制しやすいが、天然い草でも定期的な掃除・除湿で対応可能。
◆ まとめ:畳は慎重に選び、施工技術にも注意を!
今回のお客様のように、「やっぱり紙はちょっと合わなかった…」と後悔する例が増えています。
大切なのは、畳の素材や性質をよく理解し、自分のライフスタイルに合ったものを選ぶことです。
- ✅ 天然い草の畳は香り・肌触り・経年変化が魅力。汚れが目立ちにくく、リラックス感も抜群。
- ✅ 紙や樹脂畳は、防カビ・耐水性やカラーバリエーションに優れるが、汚れが落ちにくい面や“本物の畳”らしさを感じにくい面も。
- ✅ 施工技術も重要。ズレや隙間があると、いくら表面が良くても使い勝手が悪化する。
これから畳替えを検討される方は、畳表のサンプルを見せてもらいながら、住環境や好みをじっくり話し合いましょう。
そして、仕上がり後は必ず実際に畳をめくって確認する…というのは難しいかもしれませんが、信頼できる畳屋を見つけておけば安心です。
最後に:畳選びで悩んだら、いつでもご相談を!
「紙の畳にしたけど、やっぱりい草が恋しくなった…」
「今度は失敗したくないから、ちゃんとした職人さんに依頼したい!」
そんな方は、ぜひ私、畳マン六代目(青畳工房)へお気軽にご相談ください。
創業170余年の実績を持ち、国産い草へのこだわりと徹底した技術を活かして、お客様一人ひとりのニーズに合わせた畳替えを実現いたします。
しっかり補修や寸法調整を行い、“ビシッ”と納まる和室へと仕上げますので、どうぞ安心してお任せくださいね!
日本の暮らしにとって大切な畳を、一緒により快適なものにしていきましょう。