
畳の隙間やへこみは表替えか新調か?創業170年余の六代目が徹底解説!
こんにちは、畳マン六代目です。
創業170年余の畳店の六代目として、畳替え・表替え・新調など、数多くの畳施工を手がけてまいりました。
「畳と畳の間に隙間ができてしまった」「畳の一部分がへこんでしまった」といったお悩みを抱える方は少なくありませんが、実はこれらは畳特有の経年変化によるもの。
また、適切なメンテナンスや補修を行えば、見た目も機能も十分に回復できるケースが多いのです。
この記事では、畳に隙間やへこみが生じる主な原因、そして「表替え」での修復が可能な場合と、新調が必要となる場合の違いを詳しく解説します。
長年培ってきた知識と経験をもとに、できるだけわかりやすくお伝えしますので、畳のメンテナンスを検討中の方はぜひ最後までご覧ください。
畳に隙間やへこみができる理由とは
重い家具や日常使用によるへこみ
畳は、畳床(芯材)の上にい草や和紙表などの畳表を張った構造となっています。
畳床には、適度なクッション性と弾力性があるため、座り心地や歩き心地が良い一方で、重い家具や人の体重による圧力が集中するとへこみが生じやすくなります。
特に、以下のような場所は注意が必要です。
- 家具の脚が常に載っている場所
- 入口付近や人の往来が多い廊下側
- 日常的に座る場所(座椅子や座布団を敷いていても圧力がかかる)
こうしたへこみ自体は、生活するうえで完全に防ぎきれるものではありません。しかし、定期的な畳の点検や表替えの際に補修をすることで、状態をリセットできる可能性があります。
畳がやせる?湿度変化による隙間
畳は自然素材であるい草(または和紙)を使用しているため、湿度の変化に敏感です。湿度が高い季節(梅雨や夏場など)は膨らみ、乾燥した季節(冬場、暖房やエアコンで部屋が乾燥する時期など)には縮む性質をもっています。
畳職人の間ではこれを「畳がやせる」と表現します。
長期間使用しているうちに徐々に縮みが進み、畳と畳の間に隙間が発生してしまうケースが多いのです。
また、住環境の影響も大きく、エアコンの風が常に畳に直撃している場合や、極端に乾燥した地域では、畳のやせが通常より早まることもあります。
隙間が広がると、そこからホコリや小さな虫が入り込んだり、すきま風によって部屋の冷暖房効率が落ちるなど、生活上の問題が生じることも少なくありません。
隙間やへこみは直る?表替えでの補修方法
「畳に隙間やへこみがある=畳を丸ごと買い替えなければいけない」と思い込んでいる方は多いですが、状態によっては“表替え”で十分に修復可能です。
表替えとは、既存の畳床は再利用し、古くなった畳表だけを新しい表に交換する施工方法を指します。その際、畳を一度すべて引き上げて職人が細かく点検し、隙間やへこみを補修します。
へこみの補修
へこんでしまった畳床の部分には、イ草やゴザなどを切り合わせて埋め込み、凹凸をならす作業を行います。これにより、表面の平坦さをある程度取り戻すことができます。
へこみが軽微であれば、ほとんどの場合はこの補修で十分です。
隙間の補修
畳同士の間にできた隙間も同様に、畳の側面にゴザや表の切れ端を縫い足して微調整します。隙間の幅に合わせて畳の大きさを補い、元の寸法に近づけることが可能です。
そのうえで新しい畳表を張るため、見た目にも美しく、畳同士がぴったりと合う快適な空間がよみがえります。
新調を選ぶべき場合の見極めポイント
補修をすればほとんどの隙間やへこみは改善できますが、なかには畳床自体が寿命を迎えているケースもあります。
以下のような症状が見られる場合は、新調を検討した方が結果的に快適で長持ちすることが多いです。
- 畳床がふにゃふにゃして弾力がない
長年使用して畳床の内部が傷み、押すと極端に柔らかい感触がある場合は、畳の芯そのものが劣化しています。表面だけを張り替えても根本的な解決にならないため、新調が望ましいです。 - 裏糸が切れている
畳を裏返したときに、畳表を縫い止めている糸が切れ、表と床が部分的に離れている場合も要注意。施工上の問題が発生しやすく、今後もスムーズに使い続けるのが難しくなります。 - 隙間が大きすぎる
畳同士の間に数センチ単位の隙間が空いてしまう場合や、押しても引いてもどうにも合わないくらいに変形している場合は、再調整が困難です。 - 使用年数が15~20年以上
一般的に畳床の寿命は15~20年と言われています。もちろん使用環境によりますが、大幅に寿命を超えている場合は、思い切って新調する方が快適かつ経済的な場合もあります。
表替えと新調、それぞれのメリット・デメリット
表替えのメリット
- コストを抑えられる
新調に比べて費用が安く済むことが多い。 - 施工期間が短い
畳床を再利用するため、施工時間も比較的短め。 - 下地がしっかりしている場合は新品同様
畳床が良好な状態なら、新しい表で見た目も機能面もかなり回復できる。
表替えのデメリット
- 芯材が劣化していると根本解決にならない
畳床の劣化が進んでいる場合は、補修で対応しても限界がある。 - 厚み・寸法の大幅調整は難しい
畳床そのものを交換しないため、極端な凹凸や変形は完全には直しきれない場合がある。
新調のメリット
- 芯材から一新
へこみや隙間の原因となる劣化を根本から解決できる。 - 畳の耐用年数がリセット
新しい畳床・畳表を使用するため、そこからまた10年、20年と安心して使える。 - 寸法や厚みの変更も自由
部屋の構造に合わせた微妙なサイズ調整が可能。
新調のデメリット
- 初期費用が高い
表替えに比べると、どうしてもコストは高くつく。 - 施工期間や工数が増える
畳床から作り直すため、時間に余裕をもって依頼する必要がある。
畳を長持ちさせるためのポイント
- 定期的な湿度管理
畳が湿度の高低に影響されやすいのは前述の通りです。
加湿器や除湿器、エアコンの使い方を工夫し、極端に乾燥させすぎない・湿りすぎない環境を目指しましょう。 - 家具の脚の保護
家具の脚にはフェルトや保護マットを貼ることで、畳への圧力を分散できます。
へこみ防止のひと工夫が長持ちへの近道です。 - こまめな掃除・拭き掃除
隙間のホコリやゴミは畳の痛みを早める原因になります。
掃除機や乾拭き、固く絞った雑巾などでこまめにメンテナンスしましょう。 - 定期的にプロに相談
畳の専門家が見れば、隙間やへこみ、畳床の劣化具合を正確に判断できます。
早めのメンテナンスが大きなトラブルを防ぎ、結果的にコストダウンにもつながります。
まとめ:隙間・へこみは表替えで直ることが多い!でも芯材次第では新調も検討を
畳に隙間やへこみが生じるのは、自然素材としての特性や、日常生活での圧力が原因です。
- 比較的軽微な症状なら、表替えでの補修が十分効果的。
- 芯材まで劣化している場合や、大きな変形が見られる場合は、思い切って新調を選ぶ方が快適に使えます。
創業170年余を誇る六代目の立場から断言できるのは、畳のメンテナンスは“早め”が肝心ということ。痛みやトラブルが大きくなる前に手を打てば、より美しく、より快適に、そしてより長く使い続けることができます。
もし「畳の隙間やへこみが気になる」「表替えと新調、どっちがいいのか迷う」という方がいらっしゃれば、ぜひ一度ご相談ください。専門家として最適なプランをご提案し、大切なお住まいの和空間づくりを全力でサポートいたします。
畳の豊かな香りと、ふかふかな踏み心地を、いつまでも。畳マン六代目がお手伝いいたします!