「畳のすき間から蟻が出てきた。シロアリでしょうか」
写真を見せていただくことがありますが、黒い蟻が一匹いたというだけでは、シロアリ被害とは決められません。外から普通の蟻が入ったこともあれば、畳の下に餌になる虫がいて集まっていることもあります。
ただし、畳を上げたときに土で固めたような筋がある、羽の付いた虫がまとまって出た、床が沈むという場合は、そのままにしない方がよいです。慌てて薬をまく前に、出た場所と虫の姿を残してください。
最初にすることは、写真を撮ることです
虫を見つけたら、できれば次の4点を撮ります。
- 部屋全体と、虫が出た位置
- 虫を上から見た写真
- 羽が落ちていれば、その形が分かる写真
- 畳のすき間や壁際にある土の筋、粉、木くず
掃除をする前の方が手掛かりは残ります。殺虫剤を部屋中へ吹きかけたり、何枚もの畳を無理に持ち上げたりする必要はありません。被害の範囲が分からなくなったり、重い畳でけがをしたりするためです。
普通の蟻とシロアリは、名前は似ていますが別の虫です
シロアリは白っぽいものばかりではなく、羽アリの時期は黒く見える種類もいます。反対に、黒い蟻が畳の近くにいるからといって、畳を食べているとは限りません。
| 見つけたもの | 確認したいこと |
|---|---|
| 黒い蟻が数匹 | どこから入り、何に集まっているか。これだけでシロアリとは判断しない |
| 同じ長さに見える4枚の羽 | シロアリの羽アリの可能性があるため、虫と羽を撮影して専門業者へ |
| 土を固めたような筋 | 蟻道の可能性がある。崩す前に位置と長さを撮影する |
| 床の沈み・木の空洞 | 畳だけでなく床板や床下まで確認が必要 |
写真だけでは判別しにくい虫もいます。大切なのは、見た目だけで決めつけず、侵入経路と床下の状態を確認することです。
畳の下で見るのは、畳だけではありません
和室は、上から畳表、畳床、その下の床板という順でできています。虫が見えた場所が畳でも、原因が床板や壁際、床下にあることがあります。
実際に畳を上げると、畳の裏に蟻道が続いていたり、床板の一部が弱っていたりすることがあります。一方で、畳は傷んでおらず、壁のすき間から普通の蟻が入っただけのこともあります。
畳を替えれば虫の問題も終わる、とは限りません。先に発生源と建物側の状態を確かめ、それから畳を戻せるか、表替えでよいか、新畳が必要かを判断します。
相談先は、見つかった状態で変わります
虫の種類や蟻道を調べるのは、害虫・シロアリの専門業者
羽アリ、蟻道、木材の食害が疑われるときは、まず専門業者の調査が必要です。薬剤処理が必要か、どこまで被害があるかは畳の見た目だけでは決められません。
畳を上げ、使えるかを見るのは畳店
畳店は、畳を上げて裏面と畳床の状態を確認し、処理後に再使用できるかを見ます。畳床がしっかりしていれば、乾燥や清掃のうえで戻せる場合もあります。食害、強い臭い、崩れ、深い沈みがあれば新畳を検討します。
床板や床組みの修理は、大工・工務店
床板が腐っている、根太など床を支える部分まで傷んでいる場合は、建物側の修理が先です。青畳工房では畳を上げたときに見える範囲をお伝えしますが、建物の補修を畳工事だけで済ませることはできません。
駆除後すぐに畳を入れ替えない方がよい場合もあります
薬剤処理や床板の補修が必要なときは、施工が終わり、床下や畳が乾いたことを確認してから畳を戻します。湿ったまま新しい畳を納めると、カビや臭いの原因を残してしまいます。
畳床まで使えるなら、むやみに捨てる必要はありません。反対に、形だけ戻しても安全に使えない状態なら、新畳にする理由をきちんとお伝えします。畳床の種類と交換の目安も参考にしてください。
再発を防ぐために見直したい場所
- 雨漏り、配管からの水漏れ、結露がないか
- 床下換気口の前を物でふさいでいないか
- 外壁や基礎の近くに木材や段ボールを置き続けていないか
- 畳や床板に、乾かない湿りやカビ臭さがないか
シロアリは「掃除が足りないから出る」という単純なものではありません。水分や建物の経路が関係するため、原因に合った対処が必要です。
よくある質問
畳に殺虫剤をかけてもよいですか?
見えている虫だけに市販品を使う場合も、製品の表示に従ってください。ただし、畳の内部や床下に原因があると、表面へ薬をかけるだけでは解決しません。広範囲へ吹く前に写真を残し、専門業者へ相談した方が原因を追いやすくなります。
畳の下を自分で見てもよいですか?
畳は見た目より重く、無理に持ち上げると腰や指を傷めます。戻す位置と向きも決まっています。見える範囲の撮影にとどめ、何枚も上げたいときは畳店へご相談ください。
畳を全部替えれば安心ですか?
発生源が床下や建物側に残っていれば、畳だけ替えても根本的な解決にはなりません。調査、必要な処理・補修、畳の判断という順番で進めます。
虫が出た場所の写真から確認します
「畳店とシロアリ業者のどちらへ先に聞けばよいか分からない」という段階で大丈夫です。畳マン六代目こと古賀隆夫が、畳を上げる必要があるか、畳側で確認できることは何かをお伝えします。シロアリの判定や駆除が必要な場合は、専門業者へ相談していただく内容もはっきり分けます。


