畳の再利用は可能?寸法調整と加工でピッタリ仕上げる方法

畳マン六代目
畳マン六代目

こんにちは、畳マン六代目です。
創業170年余りの老舗畳店「青畳工房」の六代目として、畳製作一級技能士の資格を持ち、国産畳表や佐賀県産い草を扱いながら、日々畳の技術を探求しています。
これまで数多くの畳替えやリフォームの現場に携わってきましたが、今回はその中でも「畳の再利用」にまつわる話をご紹介します。
畳はオーダーメイドであり、1枚1枚が部屋の寸法に合わせて作られているため、場所を変えて再利用するのは簡単ではありません。しかし、職人の技術と工夫次第で再利用が可能になるケースもあるのです。そんな現場での奮闘記を、具体的な事例とともにお伝えします。


・畳再利用を巡る相談|1階は表替え、2階はフローリング化

今回のご依頼内容は、以下のようなリフォームでした。

1階の二間を表替えしたい
2階の二間はフローリングに変更したい

見積もりも終え、あとは施工日を待つだけ…と思いきや、お客様から突然の電話が。

「2階の畳がまだきれいだから1階で再利用しようと思ったんですが、隙間ができたり全然入らなかったりするんです!」

一体どうしてこうなってしまったのか? さっそく現場に急行して原因を探ることにしました。


・畳がピッタリはまらない!?隙間とサイズオーバーの原因

実際に1階を確認すると、次のような問題が発生していました。

✅ 一方の部屋は壁と畳の間に数センチの隙間ができる
✅ もう一方の部屋では、畳が大きすぎてまったく入らない

お客様は「同じ家の中なのに、なぜこんなに寸法が合わないのか」と不思議そうにされていました。しかし、これには明確な理由があります。

畳は部屋ごと、1枚1枚オーダーメイド

畳はもともと、その部屋の寸法に合わせてミリ単位でより細かい単位で作られています。
同じ家の中でも、
・部屋の形状や柱の位置
・築年数による建物のわずかなゆがみ
・床の沈下や柱の反り
など、さまざまな要因によって寸法が微妙に異なるのです。

さらに築年数が経っていると、柱や床が経年変化で少しずつ動いていることも珍しくありません。
つまり、2階の畳を1階にそのまま敷こうとしても、隙間ができたり入りきらなかったりするのは当然のことなのです。


・畳の再利用は可能?柔軟な対応で解決!

お客様は「どうしても2階の畳を再利用したい」という強いご要望をお持ちでした。
そこで、現場の状況を見ながら以下のような加工・調整を提案しました。

1. 隙間ができる部屋

畳床に厚みを追加する加工を行い、部屋の寸法に合わせてピッタリと収まるよう調整。
ただし、隙間が数センチ程度なら対応できますが、それ以上に大きい場合は新調したほうが費用面でも仕上がり面でも確実になる場合があります。

2. 畳が入らない部屋

寸法を再測定し、畳床を慎重にカットしてサイズを合わせる。
畳を小さくする加工は、職人の経験と正確な測定が不可欠。
誤差が出ないよう、丁寧に確認しながら作業を進めます。

こうした対応策を組み合わせることで、2階から持ってきた畳を1階でも無駄なく使えるように仕上げることができました。再利用は簡単ではありませんが、あきらめる前にプロに相談してみる価値は大いにあるといえます。


・畳再利用のメリットと注意点|費用は通常の表替えより高め

「まだ十分使える畳を無駄にしたくない」「思い出のある畳を活かしたい」というお客様の思いを叶えるのが、畳の再利用です。もちろんメリットもありますが、同時に注意点も存在します。

✅ メリット

畳床がしっかりしていればコスト削減に
新しい畳を作るより費用を抑えられることもあります。
資源を有効活用できる
捨てずに再利用することで、環境負荷を減らせる側面があります。
思い出を残せる
祖父母の部屋や、子ども時代を過ごした畳を別の部屋で使い続けるなど、 思い出という価値を大切にできます。

❗ 注意点

加工に手間がかかるため、費用が上がる場合がある
新調より安くなるケースもあれば、寸法合わせや補修作業に手間がかかり、結果的に費用が高くなるケースもあります。
畳床の状態次第で再利用不可の場合も
カビや虫害、著しい劣化がある場合は、安全性と仕上がりを考えて新調をおすすめする場合もあります。
仕上がりに限界がある
どうしても元々の畳の寸法や形状の影響を受けるため、完全にピッタリ合わない箇所が生じる可能性も。

再利用するかどうかは、お住まいの条件やお客様のこだわり・予算次第です。プロの目で畳床の状態をしっかりと判断し、最適な方法をご提案することが大切だと考えています。


・畳再利用のご相談はプロにお任せください

今回の事例でも、2階の畳を1階で再利用するには追加の加工や寸法調整が必要でした。お客様のご要望を丁寧にヒアリングし、現場の状況に合わせて柔軟に対応できたことが、成功のポイントだったと思います。

再利用が難しい場合も
最適な提案ができるよう、状況を詳しく確認します。たとえば、「畳の芯材がボロボロ」「カビや虫の被害が深刻」などの場合は、新調したほうが結果的に安く、見た目も長持ちするケースが多いです。

思い出のある畳を活かす
どうしても捨てたくない畳や、愛着のある畳がある場合、置き畳として使ったり、室内インテリアの一部に加工するなどのアイデアもあります。
プロに相談すれば、いろいろな選択肢が見つかるかもしれません。


・まとめ|「どうしよう?」を「こうしよう!」に変えるアイデア

畳の再利用は、確かに難しいケースも多いですが、プロの職人がきちんと寸法を測り、畳床を補修・加工することで可能になる場合があるということを今回の事例から知っていただければ幸いです。
廃棄せず再利用することで、コストや環境負荷を抑えられるだけでなく、思い出や愛着を残せることも大きなメリット。
もし「まだ使えそうな畳をどうにかしたい」「同じ家の中で畳を移動したい」などのお悩みがあれば、お気軽にご相談ください。
畳マン六代目として、皆様の快適な和室づくりを全力でサポートいたします。「どうしよう?」を「こうしよう!」に変えるお手伝いをさせていただきますので、一緒にベストな解決策を見つけましょう!

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枚数や、畳の状態によりお預かり日数が変わることがあります。

この記事を書いた人
畳マン六代目

創業170余年・青畳工房の「畳マン六代目」こと古賀隆夫。
古賀畳工業所から法人化し現在、正式な社名は「株式会社WT」であり、その代表取締役。
1982年生まれの畳製作一級技能士。

佐賀工業高校卒業後、3年間週1回の畳訓練校に通いつつ福岡県の中村製畳店にて弟子として修行。
その後ご縁があり山口県の荒川氏や奈良県の浜田氏など畳製作技術のスペシャリストの方々を師事することで通常業務では知り得ない技術の真髄を学ばせて頂く。

国産畳表を愛し、佐賀県最後のイ草生産者吉丸氏や、熊本県八代市のたくさんのイ草生産者さん達との繋がりを最高の財産だと考えている。

「中国産イ草を使わなければならないのであれば、その仕事はキッパリ断る」がポリシー。

時には伝統的な技術と新しいアイデアを融合し、家族が笑顔でほっとする空間作りを目指しています。

ありがたいことに地元佐賀や福岡のメディア取材多数頂いてます。
STS・NHK・ぶんぶんTV・FBS・FM佐賀・NBC・えびすFM・雑誌新聞等

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