
こんにちは、畳マン六代目です。
私は創業170年以上続く老舗畳店「青畳工房」の六代目として、数多くの畳施工やメンテナンスを行ってきました。そんななかでも印象的だったのが、湿気が原因で複数枚の畳が一斉に反り上がったという、ある集会所での出来事です。本記事では、その衝撃の現場事例を通じて、床板や木材施工における湿気対策の重要性を解説します。湿度の高い場所での畳施工を検討している方や、床下環境が気になる方は、ぜひ参考にしてください。
・集会所で発生した畳の異変とは?
ある集会所で、「床下が傷んでいるので修繕しつつ畳を新調したい」という依頼がありました。現場を確認すると、
✅ 既存の床板や束(つか)が腐っており、床が抜けている箇所があった
✅ 湿気が非常に多い環境で、床下の通気が悪い
まずは大工さんが床板の張り替えなどを行い、下地をしっかり整えてから畳の採寸・納品へと進むことに。
修繕後の状態は良好で、畳もピタッと収まり問題なさそうに見えました。
ところが、約1か月後、依頼主から「畳が反り上がって大変なことになっている」という連絡が届きます。
・畳が反り上がる!?湿気がもたらした衝撃の光景
実際に現場へ駆け付けてみると、
✅ 1枚や2枚ではなく、複数の畳がバネのように“反り上がって”いた
✅ 畳を強く押しても元に戻らないほど硬く上方向に押し上げられている
原因を突き止めるために、畳を1枚外して床下を確認してみたところ、さらに驚くべき状況が…
なんと床下に敷いた床板がうねるように大きく波打っていたのです。
湿気を吸った木材が膨張し、互いに押し合う形で床板が盛り上がり、その力で畳が押し上げられていました。

・湿気対策は木材施工のカギ
今回の大きな反り上がりは、床板が湿気を吸収して膨張したことが直接の原因でした。
✅ 床下の湿度が高い → 木材が水分を吸い込み“太る” → 隙間なく敷き詰めた板同士が押し合い、表面が盛り上がる → 上に載っている畳まで持ち上がる
たとえビスや釘でしっかり固定していても、木材自体が太ってしまえば止められないことがあります。特に梅雨や台風シーズンなど、湿度が急上昇する時期には要注意。
こうした事例からも、床下換気や乾燥対策がいかに重要かがわかります。

主な湿気対策の例
✅ 床下換気を改善する
床下に換気扇を設置したり、通気口を増やして湿気がこもらないようにする。
✅ 断熱材や防湿シートを活用
地面からの湿気が直に上がってこないようにし、床板が湿気を吸いにくい環境を作る。
✅ 定期的な点検や掃除
床下にゴミが溜まっていると風通しが悪くなるため、定期的に専門業者へ点検を依頼するのも有効。
・湿気との戦いを教訓に
反り上がった畳を目の当たりにした瞬間、正直「畳自体が悪かったのでは?」という不安もよぎりました。ところが、実際は畳ではなく床板の膨張が原因だったため、畳そのものの品質には問題がありませんでした。
しかし、「木材は生き物」という言葉があるように、湿度の影響を強く受ける素材であることを改めて痛感した事例でもあります。
✅ 「湿気の多い環境=畳が悪い」ではない
床下環境や施工段階での配慮が不十分だと、どんなに品質の良い畳や木材を使っても問題が起きる可能性がある。
湿度の高い場所での対策ポイント
✅ 施工前に床下環境をチェックし、必要な修繕を行う
✅ 防湿シートや通気確保など、木材が吸う湿気を少しでも軽減する工夫を
✅ 畳や床材を納品後も、換気・除湿を意識して生活する
・まとめ|湿気対策の大切さを再確認しよう
今回の集会所の事例では、木材の膨張により複数の畳が反り上がるという衝撃的な状況が発生しました。
✅ 原因:床下の湿気+木材の膨張
✅ 対策:施工前の床下換気・防湿・木材施工の見直し
畳マン六代目として、このような事例に直面すると「畳の品質だけでなく、建物全体の湿気管理がいかに重要か」を改めて実感します。もし、湿気が多い場所で畳替えを検討している方は、床下環境や換気対策も含めた全体の施工プランを考慮することが大切です。
畳自体を高品質なものにしても、床下が常に湿気だらけでは本来の性能を発揮しきれません。ぜひ、家の健康を守るためにも、湿気対策に目を向けてみてください。
疑問や相談があれば、いつでも青畳工房(畳マン六代目)までお気軽にご連絡ください。豊富な経験と技術で、快適な和室づくりをサポートさせていただきます。