
こんにちは、畳マン六代目です。
ここ数年、畳替えの際に「国産畳表なんてもう無いですよ」と言われてしまうケースが増えています。
しかし、それはまったくの誤解。流通量は確かに減っているものの、国産畳表は今でもきちんと存在しています。
特に熊本県産畳表は国産の約95%を占める、いわば「日本の畳文化の要」です。今回は、国産畳表の供給状況や熊本県産畳表の現状について詳しくお伝えします。
・全体の80%が中国産、国産はわずか20%
現在、日本国内で流通している畳表の約80%が中国産と言われています。
一方で、国産畳表はわずか20%程度にすぎません。その少ない国産畳表の中でも、約95%以上が熊本県産。つまり、「国産畳表=熊本県産畳表」といっても過言ではないほど、熊本県が国産畳表の供給を支えているのです。
✅ 日本の畳表シェア
・約80%が中国産
・約20%が国産(その95%以上が熊本県産)
フローリングの普及やライフスタイルの変化、そして国産畳表の需要減少が相まって、熊本県産畳表の生産量も年々落ちてはいますが、それでも「国産畳表はもう無い」と断言するのは誤り。
きちんと生産され、流通しています。
・熊本県のい草生産者数の推移 ~ 減少する現状とその背景 ~
生産者数の推移
かつては3,000戸以上のい草生産者がいた熊本県ですが、ここ数十年で急激にその数が減少しています。
以下の推移を見ても、年を追うごとに生産者が減っていることがわかります。
コピーする編集する平成元年(1989年): 約3,300戸
平成18年(2006年): 1,030戸
平成27年(2015年): 550戸
令和3年(2021年): 346戸
令和5年(2023年): 296戸
令和6年(2024年): 266戸
令和7年(2025年): 220戸前後
単純計算でも、ここ30年ほどで生産者数は1/10以下にまで減少していると推測できます。
生産者数がここまで減った理由は?
✅ 後継者不足
・農家の高齢化が進み、次世代の担い手が見つからない。
✅ コストの増加
・燃料費や資材費の高騰が生産者を苦しめる要因に。
✅ ライフスタイルの変化
・フローリング需要の増加で畳そのものの需要が低下。
✅ 価格が上がらない
・畳表の売値がコストの上昇に追いつかず、生産を続けるモチベーションが下がる。
それでも、残っている熊本県の生産者たちは「国産い草」にこだわり、品質を最優先した畳表づくりを続けています。
・「国産畳表はもう無い」と言われたら要注意
国産畳表の流通量は少ないとはいえ、まったく無くなったわけではありません。
では、なぜ「国産畳表はもう無い」と言われてしまうのか? その理由として考えられるのは、
✅ 中国産や人工畳表に誘導したい
・仕入れやすい畳表しか扱っていない畳店が、単純に国産畳表を“扱っていない”だけのケース。
✅ 知識・情報不足
・畳業界の動向に疎い、もしくは勉強不足で誤った情報を伝えている可能性。
本物の国産畳表を求めるなら、「産地はどこなのか」「どんな等級なのか」を具体的に説明できる畳屋を選ぶのが必須。
サンプルや証明書を提示してくれるお店はより信頼できます。
・畳屋を選ぶときのポイント
畳替えを検討する際は、以下の点をチェックしてみてください。
✅ 産地・等級の説明があるか
「熊本県産の何等級の畳表を使うのか」を明確に答えられる畳屋は信頼度大。
✅ 価格と品質のバランス
国産畳表はどうしても中国産より割高になる傾向があります。
あまりにも安すぎる「国産表」は疑ってかかる方が無難です。
✅ 実物のサンプルを見せてもらう
サンプルや見本を確認し、い草の色合いや目の詰まり具合をチェック。
見比べることで、手触りや香りに違いを実感できます。
✅ アフターフォローの有無
納品後のメンテナンスや相談に応じてくれるかどうかも大切なポイント。
国産表は品質が良いとはいえ、使い方やメンテナンス方法によっても寿命が変わります。
・まとめ ~ 熊本県産畳表は「日本の畳文化の心臓部」 ~
国産畳表が減少の一途をたどっているのは事実ですが、だからといって「もう無い」わけではありません。日本の国産畳表のほとんどを支えている熊本県では、多くの生産者が高齢化やコスト増に苦しみながらも、妥協なき品質でい草を育て続けています。
✅ 畳表全体の80%が中国産
✅ 国産は約20%。その95%以上が熊本県産
✅ 熊本県産畳表は、まだちゃんと流通している!
今こそ、本物の国産畳表を選ぶことで、技術を守り、文化を未来につないでいくことが大切です。フローリングが主流となった今でも、畳の香りや手触りを好む方は少なくありません。
「日本の畳文化」を次の世代に残すためにも、ぜひ熊本県産畳表の品質を確かめてみてください。