ペット用畳は何年使える?爪傷・粗相・摩擦で見る交換時期

「ペット用畳は何年使えますか」と聞かれることがあります。けれども、五年、十年と一つの数字では答えられません。同じ畳でも、犬が走る廊下側だけがすり減る家もあれば、猫が爪をかける一枚だけが早く毛羽立つ家もあります。表面はきれいに見えても、繰り返した粗相の水分が畳の中へ入っていることもあります。

替え時を見るときは、購入年より先に、傷みが畳表だけなのか、畳床まで及んでいるのかを分けます。畳表は目に見える表面材、畳床はその下にある芯材です。畳表の交換で済むなら、今の畳床を使う表替えができます。畳床が崩れたり大きく変形したりしていれば、新畳を考えます。

爪傷と摩擦は、畳表の傷み方を見る

犬や猫の爪が触れるのは、部屋全体とは限りません。出入口で向きを変える場所、窓へ駆け寄る通り道、家具へ飛び乗る手前など、同じ場所へ力が集中します。次のような変化は、まず畳表を見ます。

  • 織り目に沿って毛羽立ち、細かなくずが出る
  • 爪をかける一角だけ、表面がめくれている
  • よく走る場所だけ光り方や手触りが変わった
  • 畳縁の際や畳同士の境目が擦れている

表面に傷があっても、畳を踏んだ感触がしっかりしており、畳床の形が保たれていれば、表替えで済むことがあります。反対に、傷をマットで隠して使い続けると、傷みの範囲が分からなくなります。掃除のたびにくずが出る、爪が引っ掛かるほど表面が起きている場合は、年数を待つより状態を見た方がよいでしょう。

六代目・古賀隆夫は五匹の保護猫と暮らしています。同じ家の猫でも、爪をかける強さや場所はそれぞれ違います。五匹いるから一様に傷むのではなく、一匹の決まった動きで一か所へ摩擦が重なることもあります。素材を替える前に、爪とぎの位置や走る道を見直すと、次の畳でも同じ場所だけが早く傷むのを減らせる場合があります。

粗相や吐き戻しは、表面の跡だけで判断しない

水分をすぐ拭き取れて、乾いたあとに変色や臭いが残らなければ、直ちに交換とは限りません。ただし、畳の合わせ目、畳縁の際、家具の下へ流れた水分は、表面から見えにくいところへ残ることがあります。

見るのは、汚れの色だけではありません。乾いたあとも同じ場所から臭いが戻る、畳を押すと周囲より湿った感じがする、畳縁の際まで変色している。このようなときは、畳表を外した下まで見ないと判断できないことがあります。消臭剤の香りで覆う前に、いつ、どこへ、どの程度の水分が入ったかを控えておくと状態を追いやすくなります。

水拭きできる畳表であっても、畳同士の隙間や縁の下まで一体で防水になるわけではありません。「表面を拭けたから畳床も濡れていない」とは決めつけず、臭いや湿りが続くかを見ます。

沈みや大きな段差は、畳床と床板も見る

畳表の交換だけでは直らない変化もあります。

  • 歩くと一枚だけ深く沈む
  • 畳の角が持ち上がり、隣の畳との段差が大きい
  • 持ち上げると畳床の端が崩れる
  • 臭いが畳の裏や床板側から続く
  • 家具を外しても大きな変形が戻らない

これらはペットだけが原因とは限りません。畳床の経年変化、家具の重さ、床板や下地の状態が重なっていることもあります。新しい畳表を張っても芯材の沈みは直らないため、畳を上げ、畳床と床板を分けて見ます。

畳の一般的な替え時や、色が黄金色になっただけの場合との違いは、畳を交換しないとどうなる?放置で起きる変化と替え時で詳しく説明しています。

一枚だけ替えるか、部屋をそろえるか

傷んだ一枚だけを替えられる場合はあります。ただし、周囲の畳は日焼けや使用で色と手触りが変わっています。新しい一枚との差が出ること、以前と同じ商品や色柄が継続しているかは、先に確かめたい点です。

同じ通り道に傷みが集中しているなら、部屋全部を同じ高耐久素材へ替えるほか、負担がかかる範囲だけ素材を変える考え方もあります。見た目をそろえたいのか、掃除を楽にしたいのか、爪傷を優先したいのかで選択は変わります。ペット用という名前だけで決めるより、困っている動きを一つに絞る方が素材を選びやすくなります。

一枚だけに傷が集中していても、その一枚を先に替えることが最善とは限りません。出入口側を替えても、走る道が隣の畳へ移れば傷む場所も移ります。また、半畳の縁なし畳は向きを交互にして見せることが多く、一枚だけ素材や織り目が変わると光の見え方が周囲と合わないことがあります。傷の場所、敷き方、周囲との色差を一緒に見て、部分交換でよいか部屋単位でそろえるかを決めます。

まだ畳表が使える状態なら、先に爪とぎや滑りにくい通り道を整え、傷みの進み方を見てから替える選択もあります。急いで全室を同じ商品へ替えるより、犬猫が実際に過ごす場所を見て工事の範囲を決める方が無駄がありません。

素材ごとの特徴は犬猫の爪傷に強い畳を選ぶには|MuKiZu-Tatamiの特徴と注意点、現在の費用はペット用畳の6畳・8畳の価格をご覧ください。

畳床を再利用できた4.5畳の施工例

佐賀市鬼丸町では、縁なし半畳九枚の表替えでMuKiZu-Tatamiを納めました。近く保護猫を迎える予定のお客様宅で、以前の樹脂畳は汚れが目立っていましたが、畳床は再利用できる状態でした。新畳へ一式交換したのではなく、今ある畳床を使い、畳表を替えた施工です。

この例からも、「ペットを迎えるから新畳」とは限らないことが分かります。畳床が使えるか、今の寸法と納まりを保てるかを見たうえで工事を決めます。写真と施工内容は佐賀市鬼丸町の4.5畳・MuKiZu-Tatami表替え施工例に掲載しています。

替え時を見てもらうなら、三つの距離で撮る

相談前に大がかりな片付けをする必要はありません。次の三枚があると、傷みの場所と部屋全体の関係が伝わります。

  1. 爪傷、汚れ、変色が分かる接写
  2. 傷んだ畳一枚が端まで入る写真
  3. 出入口、窓、家具を含む和室全体

写真には、市町村、畳の枚数、犬か猫か、どこで走る・爪をかける・粗相をすることが多いかを添えてください。写真だけで畳床の内部までは断定できませんが、表替えで見られそうか、畳を上げて見るべきかは話しやすくなります。

傷みを年数に当てはめず、表面、踏み心地、臭いを分けて見ると、まだ使える畳床まで捨てずに済む場合があります。

この記事を書いた人
畳マン六代目

青畳工房 六代目の古賀隆夫です。1982年生まれ、一級畳製作技能士。創業170余年の畳店を受け継ぎ、佐賀市水ヶ江を拠点に畳替えを行っています。

国産い草にこだわり、畳の状態を確認して、表替えで済むか新畳が必要かを正直に判断します。家具移動や素材選びも、六代目本人がご相談から施工まで対応します。

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